石城北神谷誌
1 概要 北神谷村の「袖」という所に,山の神様がある。松の古木が茂り,附近の田圃の邪魔になるので,村民相談の上,この木を伐ることになり,村役人が先頭に立ち木挽を頼み伐採した。 その時は何もなかったが,秋頃より区長は病床に就き,その為,巫女に占…
1 概要 昔,ある年の暮れのこと,苗取山にある三宝荒神の氏子達が,賽銭箱から猪肉を買い,それを食べたところ,お咎めを蒙り,皆,口が曲がってしまった。 驚いた氏子達は,巫女を頼んでお詫びをしてもらい,ようやく治ったことがあり,今でも神罰を恐れて…
1 概要 明治18年(1885年)7月,大森村の朝草刈馬が,当村の日中坂という坂の上でダイバにかけられてころりと死んで,大騒ぎをしたことがある。 ダイバというものは誰も見た人がいないが,ダイバと鳴き合わせをすると馬が死ぬから,ダイバの鳴き声が聞こえ…
1 概要 宝暦年間(1751~1764年),村の祈願所である照林寺に智海という僧侶がいた。この僧侶が,大般若経を購入しようとしたところ,村人と折り合いがつかず,自分の意のとおりにならないことに大いに怒り,村人を呪ったところ,流行病が蔓延した。当時,…
1 概要 イタチはよく化けるもので,火柱を立てたり入道になるものである。 明治38年(1905年)頃,金子山の麓に大入道が立った,として,自分達(筆者高木誠一)の若い衆時代に恐ろしかったことがある。 夜歩く時は,帯を後ろに結んでいると,イタチがこれ…
1 概要 水品より山田に越す所にある村界に,昔,榎の大木があった。 そして,榎作には,「お蝶」,「おまん」という二匹の古狐がいて,色々な悪戯をしてよく人を化かしていた。 狐はよく人を馬鹿にする,といい,あまり利口な人も馬鹿にせず,あまり馬鹿な…
1 概要 薬師堂に「やくじや石」という,大きな独鈷の形をした石が置かれていて,この石もよく化けるといわれていたが,今はもうこの石は見えない。2 解説 残念ながら現在存在しない石のことである。石や燈篭など,無機質なものが化けた,という話はよくあ…
1 概要 吉野作に弁天さんの御宮があり,ここに沼がある。この沼はにごり沼といい,いつも水が濁っている。この沼は底なし沼で,沼の内の弁天さんの沼と通じていて,昔,この沼に手杵(猿臼の杵)をひたしたところ,沼の内の沼に浮いたという。 この沼には鯉…
1 概要 石崩には天狗様がいた。 夜,この付近で畑を耕していると,ドドトーン,ワリワリワリイと木を倒すような音がして,恐ろしく,鍬を投げて逃げてきたことがしばしば昔はあったものだ。 天狗様は常にこの山にいて,五月の田植えを見ては,百姓も素晴ら…
1 概要 白山神社の坂の下はさみしい所で,ここに「砂まき地蔵」という化け物がいて,夜,この場所を通行する人にさらさらと砂をまいたという。 また,一昨年に死んだ末治という老人は木挽きをしており,若い頃は所々方々を流浪していた人物なのだが,この人…
1 概要 水品の荒神様に,慶応の頃,米沢から来たという硯を彫る法印「硯坊主」という者が宮番をしていたことがあった。 ある晩,この法印が厠に行き屈むと,一つ目小僧が現れて法印の足を取ったので,法印は驚いて用も足さず逃げた。 翌朝早くに厠へ行くと…
1 概要 前ノ作観音堂の裏,また,七曲の西方で,夜更けに小豆を研ぐようなザックザックという音をさせる怪物があった。 これは若死にした女性の幽霊で,「小豆をとぎましょうか,米をとぎましょうか,ザックザック。」と研ぐのであるといった。 また,この…