1 概要
昔,ある年の暮れのこと,苗取山にある三宝荒神の氏子達が,賽銭箱から猪肉を買い,それを食べたところ,お咎めを蒙り,皆,口が曲がってしまった。
驚いた氏子達は,巫女を頼んでお詫びをしてもらい,ようやく治ったことがあり,今でも神罰を恐れている。
2 解説
上記の苗取山がいわき市のどこにある山なのか,残念ながら不明である(出典の石城北神谷誌の話は,大抵がいわき市北部の話であることから,同地にあるのではないかと推測する。)。
三宝荒神(さんぼうこうじん,さんぽうこうじん)は,日本特有の仏教における信仰対象の1つで,仏法僧の三宝を守護し,不浄を厭離する仏神という。お賽銭という浄財で,獣肉という不浄物(この話がいつ頃の話かは不明であるが,例えば,肉食を忌とした江戸時代,どうしても肉食する際には,神棚に紙で目貼りしたという。)を氏子が食したことに対し,三宝荒神が祟りを与えたのであろうか。