1 概要
水品の荒神様に,慶応の頃,米沢から来たという硯を彫る法印「硯坊主」という者が宮番をしていたことがあった。
ある晩,この法印が厠に行き屈むと,一つ目小僧が現れて法印の足を取ったので,法印は驚いて用も足さず逃げた。
翌朝早くに厠へ行くと,古狸がいるのを見つけた。さてはこの狸が化けたのであろう,といった。
2 解説
水品は「福島県いわき市水品」のこと,また,同地の小字に「荒神」という地名があり,さらに同地には「水品神社」という神社があるため,同神社での出来事ではないだろうか。
また,慶応年間は1865年から1868年間までの幕末の頃である。