1 概要
明治18年(1885年)7月,大森村の朝草刈馬が,当村の日中坂という坂の上でダイバにかけられてころりと死んで,大騒ぎをしたことがある。
ダイバというものは誰も見た人がいないが,ダイバと鳴き合わせをすると馬が死ぬから,ダイバの鳴き声が聞こえぬ様に馬のコゴメにナリハ,またはシマダ(鈴)をつけたものだ。
また,荷鞍かまをえんじゅの樹で作れば,ダイバ除けになる。後ふりに大津東町とかくのも,これがためである。
2 解説
原文に近い形で記載してあるが,若干意味が分からない部分「コゴメ」,「ナリハ」などがあるが,そこは今後よく調べてみる予定である。
上記の大森村は「福島県いわき市四倉町」の一部のようで,当村とあるのは北神谷周辺の村か(日中坂の場所が特定できない。)。
ダイバは「頽馬(たいば)」とも「馬魔(ぎば)」ともいわれ,路上を歩いている馬を死に至らしめる妖怪,とされている。
発生時期は4月から7月にかけてで,特に5月から6月の,晴れたり曇ったりと天候の変化の激しい日に多いという。
また,これを防ぐためには,馬の首を布で覆う,虻よけの腹当てをする,馬の首に鈴をつけるなどの方法があるという。