1 概要
水品より山田に越す所にある村界に,昔,榎の大木があった。
そして,榎作には,「お蝶」,「おまん」という二匹の古狐がいて,色々な悪戯をしてよく人を化かしていた。
狐はよく人を馬鹿にする,といい,あまり利口な人も馬鹿にせず,あまり馬鹿な人も馬鹿にせず,中くらいの人が多く馬鹿にされるという。狐に馬鹿にされたと思う時は,膝をからげて屈み,股合から後ろを見ると,狐も悟り逃げるという。
また,コンコンと鳴くのは稲荷様で,ギャンギャンと鳴くのは野良狐で,これが化けるという。
2 解説
水品は「福島県いわき市水品」のことを指すと思われるが,「山田」という地名については不明である(なお,いわき市には「山田町」という場所があるが,南東部にあり,水品からはかなり離れている。恐らく違うだろう。)。
また,「榎作」という地名については,「福島県いわき市鹿島町御代榎作」という場所があるが。やはりこの場所も,水品からは少し離れているように思われる。いずれも,今は合併等で消滅した地名なのかもしれない。