1 概要
北神谷村の「袖」という所に,山の神様がある。松の古木が茂り,附近の田圃の邪魔になるので,村民相談の上,この木を伐ることになり,村役人が先頭に立ち木挽を頼み伐採した。
その時は何もなかったが,秋頃より区長は病床に就き,その為,巫女に占わせたところ,山の神様の神木を伐った祟りであるとのことで家人は驚き,巫女に祈祷を依頼し,すぐに松の木を植え継いで御詫びをした。
しかし,その効もなく,区長は長患いでついに死んでしまった。
また,その松の木を焚いた人,買った人,木を伐った木挽き等,皆それぞれ火傷や失火,病気等の厄を被ったので,残りの木を皆持って行ってお返して御詫びをした。この木は近頃まで存在しており,枝を拾って焚くと凶事があると伝わっていた。これは大正2年(1913年)のことである。
2 解説
上記の場所は,「いわき市平北神谷袖作」を指すと思われる。
神木を伐り倒したことにより祟りを受ける話は全国的によく聞かれる話である。