船山城は広島県安芸高田市に存在していた山城である。
同城の築城年がいつの頃なのか，詳細は不明である。
ただ，同城は，毛利元就の異母弟・相合元綱が居城としていたと言われている。
元綱は「今義経」と異名を取る，武勇に優れた武将で，元就との兄弟仲も良好だったと言われている。
当時，毛利氏は，元就と元綱の長兄・興元が家督を継ぎでいたが，興元は永正13年（1516年）に若くして死亡，その跡を長男・幸松丸が継ぎ，元就が後見人を務めていた。
しかし，幸松丸も大永3年（1523年），僅か9歳で病死してしまい，毛利氏の後継者は元就となるが，家臣の一部には元綱を推す一派もいた（また，近隣の有力勢力・尼子氏が毛利氏の内紛に介入する企みがあったのだという。）。
翌年，元綱及びその一派は元就に対し謀反を計画するが，その計画を先に察知した元就は家臣・志道広良に約300の兵を与え船山城の攻撃を命令，元綱は少ない手勢で同城に拠り戦うが，ついには討ち取られてしまう。
ところで，元綱は死後，成仏できなかったらしく，近隣周辺に祟りをなしたのだと言われている。
そのため，村人達は同城跡に船山権現社を建立して元綱の霊を慰撫，現在も例祭が脈々と受け継がれているのだそうである。
