福島県心霊スポット情報

福島県心霊スポット情報

福島県内の心霊スポット(全国に拡大予定、まずは東北から。)の概要とその情報について,霊感ゼロの四十雀が独断と偏見を交えつつ解説したいと思います。

座敷童子(河沼郡会津坂下町)

1 概要

 令和2年,福島県内で放送されているローカル番組「ふくしまSHOW」において,会津坂下町にある「割烹旅館松林閣」さんが紹介されていたが,その際,松林閣さんの従業員の方(女将さんと思われる。)が登場,松林閣さんにある「吾妻五葉松」という部屋には座敷童子が現れる,それを見た宿泊客には幸運が訪れているという。

2 解説

 座敷童子は比較的メジャーな妖怪であると思われる。東北地方,その中でも特に岩手県を中心に話が伝わっているが,座敷童子に類似するような妖怪の話は東北地方以外の地方にも伝わっている。
 現在でも座敷童子が住むことで有名な場所として,岩手県二戸市にある「緑風荘」さん,盛岡市にある「菅原別館」さんと言った宿が有名で,同宿において座敷童子に遭遇した人は幸運が舞い降りるとされている。

 さて,今回,座敷童子の概要について調べてみたところ,次のような事項が判明した。

①容姿
 一般的には,座敷童子は顔が赤く,見た目は5,6歳位とのことであるが,時として顔が青い,見た目が12,3歳位と,その個体により違うとされている。
 また,性別的な面から見ても男女両方が見られる等,一貫しないようである。

②性質
 一般的に,座敷童子は住み着いた家に福をもたらすが,何らかの事情によりその家を出てしまうと家が傾いてしまうと言われている。

 それ以外の性質としては,住み着いた家を火災から守る(火の神様の様な性質で,逆に座敷童子が出て行ってしまうと火事に遭うようである。この点,緑風荘さんは火事に遭遇しているが,幸いにも大事に至らず再建できている点,火の神様のような護りの性質があることを裏付けているようにも思われる。),特定の家に現れるとされるが特に何もしない(福をもたらす訳ではない。),足音を立てたり置かれている糸車を回す,寝ている家人や客人にいたずらをして眠らせないなどのいたずらをする,等があるとされている。

 なお,客人にいたずらをする,という点について,座敷童子により,家人(その家の当主)にしか姿を現さない個体,客人にも姿を現す個体,誰にも姿を現さない個体(音だけで存在を示す個体と思われる。)がいるようである。

 また,客人に姿を現す個体について,その姿を見た客人に必ず福がもたらされるとは限らないようである(むしろ,文献を見た限り,座敷童子に遭遇した客人に福がもたらされたという話の方が皆無のように思われる。)

 この点,緑風荘さんや菅原別館さん,また,松林閣さんで座敷童子に出会えると幸運が舞い降りるとされているという説明がつかなくなるが,この手の話は変遷するものであるし,単に文献に座敷童子に遭遇した客人のその後が書かれていないだけという可能性もある。それに,少なくとも住み着いている家では座敷童子は福の神である可能性があるため,その福の神に遭遇すれば家人以外にも幸運が舞い降りると考えた方が夢がありいいとも考えられる(実際に幸運を得たとされる方もいるようであり,私個人としては,肯定も否定もしないところである。)。

③ 住む場所
 一般的な屋敷に住み着くケースが多いようであるが,屋敷以外にも土蔵に住み着くほか,変わった例としては小学校に住み着いた座敷童子もいたようである(なお,盛岡市周辺では,昔はどこの家にも座敷童子がいたものとされていたようである。)。

④ 住む経緯
 大抵の場合,座敷童子の住む家というのは「いつの頃からか住み着いていた。」,「昔から住んでいた。」と言うように,その起源が分からないケースが殆どである。
 この点,先に紹介した緑風荘さんと菅原別館さんについては,以下のような起源があるそうである。

 まず,緑風荘さんについては,南北朝時代にこの地に落ち延びた6歳と4歳の子供のうち,亡くなった6歳の兄が座敷童子となったとされている(4歳の子供の子孫が緑風荘の経営者の子孫。なお,先祖は万里小路藤房という。)。

 次に,菅原別館さんについては,菅原別館さんの大女将の実家では火の神様が村の鎮守として祀られていたが,この火の神様が座敷童子であるといい,大女将が嫁入り当時に一緒についてきて現在も守ってくれているとされている(座敷童子が火の神様という点で,上記②に書いた性質と合致している点が興味深かった。)。

 この2つの宿のケースはきちんとした経緯が分かるものであり,むしろ例外的な話なのかも知れない(特に,このようなケースでは,座敷童子がある日突然出て行き没落する・・・ということはありえないのかも知れない。)。

⑤ 座敷童子の正体
 上記④に書いた緑風荘さんや菅原別館さんのようにその正体が明らかな場合もあるが,それ以外では,河童や狐狸の類を正体とする説,東北地方で行われていた「間引き」により殺された子供の霊を正体とする説など複数の説が存在しているようである(なお,間引きで殺された子供の霊が福を招く妖怪になるのは合点がいかないと思われる。)。

 さて,今回の松林閣さんの座敷童子がどんな座敷童子かは分からないが,緑風荘さんや菅原別館さんのそれとは違い,「いつの間にか住み着いていた。」,「よく正体が分からない。」というタイプの座敷童子なのかも知れない(なお,先に紹介した「ふくしまSHOW」という番組内で,松林閣さんは平成初期に建てられた(開業した)宿とのことである旨説明されていた。)。
 今後も,松林閣さんのように,「ある日突然座敷童子が住み着いた。」家や宿というものが現れるのかも知れない。

 最後に,福島県内で同様に座敷童子にまつわる話がないか調べてみたところ,座敷童子が現れる・現れたとする話を見つけることができなかった。
 ただ,以前所持していた本(現在手元にない。)に書かれていた内容をうろ覚えに覚えているのだが,確かいわき市平の個人宅に存在していた蔵に,座敷童子が住み着いていると噂されていた,とあるのを見たことがあるのが貴重な一例である。

 座敷童子に関しては,今後も調査を継続したいと考えている。

参考文献
遠野のザシキワラシとオシラサマ 佐々木喜善著 中央文庫
日本怪談集 妖怪篇上 今野圓輔著 中央文庫
よくわかる「日本の妖怪」100 日本博識研究所編 リイド文庫
日本と世界の「幽霊・妖怪」がよく分かる本 多田克己監修 造事務所編著 PHP文庫
その他