福島県心霊スポット情報

福島県心霊スポット情報

これまでに見聞きした福島県内の心霊スポット(幽霊,妖怪その他物の怪情報含む)の概要と独断と偏見の混じる解説を霊感ゼロの四十雀がいたします。

丑の刻参り

 「憎いと思う相手を呪う方法」と聞かれた時,真っ先に思い浮かべる方法が「丑の刻参り」(端的に「呪いの藁人形」とも)であろうと思われる。

 当然,「そんなのは迷信だろう。」と思われる方が多いかと思われるが,「日本の民俗 福島(第一法規出版株式会社)」を読んでみると,「憎いと思う人をわら人形につくり,丑三つ時(午前3時~午前3時半頃)に神社の境内に行って五寸釘で大木に打ちつけるなどという話もあった。」との記述があり,その効果はともかくとして,民俗学的にも,かつて丑の刻参りが福島県内で行われていたことは間違いない。

 丑の刻参りのように,人形(ひとがた)を用いた呪詛というものは古来より行われていたようで,胸に鉄釘が打ち込まれた状態の8世紀頃の木製人形代が出土している。当時の貴族の世界などというものは,我々が想像する以上に人間関係が複雑で,血なまぐさいものだったのかもしれない。

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(木製人形代(イメージ))

 また,丑の刻参りの原型ともされる「宇治の橋姫」伝説も有名で,ここでは橋姫が顔に朱を塗り,鉄輪(五徳)を逆さにかぶりその三つの足に松明を灯すなど,現在の丑の刻参りに近い姿をしている(現在のように白装束,藁人形を用いるのは,陰陽道と融合した結果ではないかとされる。)。


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(藁人形(イメージ)

 さて,現在に伝わる一般的な丑の刻参りであるが,まず,その装束としては,白装束を身に纏う,髪を振り乱す(当然整髪料などは使わない),顔に白粉を塗る(ただし,化粧をしないという説もある。),頭に鉄輪(五徳)をかぶり三本の足にろうそくを立てる,履くのは一本歯の下駄または高下駄,というもので,この姿で午前2時頃に神社に行き,御神木に憎いと思う相手をかたどった藁人形に五寸釘を打ち込むのだという。
 これにより,呪われた相手は,藁人形に釘を打たれた部分から発病,またはその箇所に激痛が生じるなどとされている。
 なお,よく言われるのが,丑の刻参りをしている姿を他者に見られてしまうと,自分自身が呪われてしまうと言われている。

 果たして本当に効果があるのかどうかは不明であるが,その効果を信じて丑の刻参りを行っていた者がいたのは確かなようで,数少ない情報ながらも,福島市の信夫山やいわき市の閼伽井嶽においてその痕跡があったという情報・文献を得ているところである。

 さて,個人的な疑問なのであるが,丑の刻参りはなぜ,神社の御神木において行うのだろうか。憎いと思う相手が呪われるよう神様にお願いするのであれば,藁人形を御神木に打ち込むという行為は神様に対して不遜であり,できないようにも思われる。
 この点,私個人の見解としては,「憎いと思う相手」をかたどった人形を御神木に打ち込むことにより,あえて神様を怒らせ,その怒りをその人形(の相手)に祟りとして行くように仕向けた儀式,それが丑の刻参りと思えている。
 これは,昔,晴天が続くので雨乞いの儀式を行う際,わざと神様(雨を降らせる龍神)の棲むという池に神輿などを沈めて神様を怒らせ,その結果雨を降らせるということに繋がると思われる。
 そしてよく,「人を呪わば穴二つ」,つまり,相手も呪われるが自分も呪われる,というのは,結局自分自身も御神木に不遜なことをしているのだから,神様から祟りを受けてしまう・・・ということに繋がるのではないだろうか。

 このように,本当に効果があるのか分からない,また,あったとしてもリスクの高そうな丑の刻参りであるが,ネットショッピングにおいて藁人形と五寸釘のセットが販売されていたり,丑の刻参りを代行する,という商売もある点で,現代においても,一定数信じている方がいるのは確かなようである。

 最後に,丑の刻参りで人を殺そうとすること自体は犯罪にはならない(不能犯の典型)が,夜間,正当な目的もなく神社に立ち入ることは建造物侵入に,御神木に五寸釘を打ち込むことについては器物損壊罪に,その他,呪おうとした相手側の捉え方によっては脅迫罪や傷害罪に問われる可能性も否定できないので,十分注意されたい。