福島県心霊スポット情報

福島県心霊スポット情報

福島県内の心霊スポット(全国に拡大予定、まずは東北から。)の概要とその情報について,霊感ゼロの四十雀が独断と偏見を交えつつ解説したいと思います。

酢川野幽霊(耶麻郡猪苗代町)

1 概要

 猪苗代の亀ヶ城の何代目かの城代某が,ある日領内巡視に出かけ酢川野村に差し掛かったところ,畑の中に苔むした古びた燈篭があるのを見つけた。
 
 城代は自邸の庭用にこの燈篭が欲しくなり,傍らで畑仕事をしていた老人に燈篭の所有者を尋ねると,老人は「ここには昔寺院があり,この燈篭がいつ誰が建てたのか,今は定かではない。邪魔なので片付けたいと思うのだが,この燈篭を運んだり壊したりすると怨霊の祟りがあるとの言い伝えがあり,そのままにしている。」と答えた。

 城代はこれを聞き,怨霊の祟りなどは村人の世迷い事であるとして早速下人に持ち帰らせ,庭の築山の植え込みに立ち置いた。

 その夜も更けた頃,御城の御門を叩く者がおり,門番が何者か尋ねると「我は掘貫の彦兵衛である。」と名乗るので,門番が隙間から覗くと,髪を藁で束ね,ぼろ着を藁縄の帯で締める賎しき姿の者であった。そのため門番は門を開けないでいると,「なぜ門を開けぬか。」と,門を飛び越えて中に入るので,門番は彦兵衛を取り押さえようとするが,彦兵衛も力が強く,夜が明けるまで組み合っていた。やがて,明るくなると彦兵衛の姿は急に消え,門番も気を失ってしまった。その後,門番は人に見つけられ,水や気付け薬を飲まされ,ようやく正気を取り戻した。

 次の夜,再び彦兵衛が現れ,門をあけよと門を叩いた。その夜の門番は別の門番で,夜更けということもあり,そ知らぬふりをしていたところ,彦表衛は門を飛び越え中に入り,やがて,寝ている城代の枕元に立ち,大変怒り震えた声で「その方,僅か形ばかりとなった我が亡き跡の燈篭をなぜ奪い取った。急ぎ元の場所に戻し返すべし。さもなくば必ずや恨みをなさん。」と言う。城代は悪夢にうなされて目覚めると,枕元に彦兵衛の姿があるのを見て,枕元の刀を掴み斬り付けると,彦兵衛の姿は影なく消え去った。

 翌朝,庭に置かれたくだんの燈篭を見ると,笠石に刀の傷跡があるのを見て,城代は昨夜のことを思い出し,灯篭を元の場所へ返すと,その後何の怪しいことはなくなったという。

2 解説

 上記の酢川野村の場所については,耶麻郡猪苗代町若宮付近ではないかと推測される(以前,この辺りを磐梯急行電鉄が走っていた際,若宮付近に「酢川野駅」という駅が存在していたため,ここではないかと推測してる。)。