福島県心霊スポット情報

福島県心霊スポット情報

福島県内の心霊スポット(全国に拡大予定、まずは東北から。)の概要とその情報について,霊感ゼロの四十雀が独断と偏見を交えつつ解説したいと思います。

オシンメイサマ

 福島県内には「オシンメイサマ(お神明様)」と呼ばれる人形に関する信仰が存在していた(特にいわき地方において信仰が多いように思われる。)。

 これは,東北北部で有名な「オシラサマ」と呼ばれる人形(棒状の胴体に頭部をつけ,布を着物として重ねてまとめた人形で,「遠野物語」にも現れる。)に外観的にはかなり近いものである。

 オシンメイサマは男女一対の像で,丈は15cmから20cmぐらい,胴部は木や竹で作られている(なお,「石城北神谷誌」によれば,長さは八寸(約24cm),面部一寸(約3cm),冠五分(約1.5cm),箱九寸五分(約28.5cm)位とされる。)。


 また,男は多くは烏帽子,女は無帽か烏帽子で,信者により着物を着せられている。オシンメイサマを作成する材料は,伊勢神宮で大神宮を立て替える際に出た古い神宮の木で作られているともされており,天照大神の子であるとも,伊佐那美,伊佐那伎尊の二神であるともいわれている。

 明治維新前頃までは,家の神様として神棚に神明箱の中に安置していたとのことであるが,明治維新後,その多くは神主,山伏,巫女,氏神などに納めた(理由は後述)とのことで,家に残る例は数少ないようである(なお,かつて,オシンメイサマを所有していた家は「ネギマケ」,「ミコスジ」といい,通婚を忌まれたという。)。

 オシンメイサマは,その家の主婦が管理し守護した神のようである。そして,オシンメイサマは遊行を好むとされ,気難しく祟りやすい神様ともされている。祟られないようにするためには持ち歩いたり,また,振り動かす(アソバセル)と機嫌が良いとされている。

 また,山伏と禰宜の妻に「もりこ」という者がいた。彼女らは,病気や災難などがある時は,「笹はらい」という神おろしをして吉凶を占っていたとのことであるが,また,シンメイサマを持ち歩いて村々を勧進し,家々を廻り米銭を受け取ったりしていたようである(もりこがオシンメイサマを両手にし摺り合わせると,しばらくしてオシンメイサマ自らが踊り跳ね回り,休めようとしても止まらなくなるといい,これをオシンメイサマが遊んでいた,とするとのことである。)。


 家々の人々も,オシンメイサマを借りて,像で肩を叩いて肩こりを治したり,頭をさすり頭痛を治したりしていたという。

 オシンメイサマの信仰が何に由来するのか,あまり詳しいことは分からない(オシラサマが馬や養蚕の信仰なのに対し,オシンメイサマではそのような信仰は殆どないらしい)。ただし,上記のとおり,扱いが難しく,祟る神様であるとのことである。なぜ、そのような取り扱いの難しい神様を信仰していたのか、謎であり、かつ、興味深いところである。

令和2年8月10日追記

 今回、所用で耶麻郡磐梯町にある「磐梯山慧日寺資料館」さんを訪れたところ、偶然オシンメイサマが展示されているのを発見した。現物が展示されているのは貴重だと思われ、興味のある方はぜひ来館してみてはいかがだろうか。
 なお、同資料館さんで作成されたオシンメイサマの解説シートを掲載する。

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