1 概要
昔,桧枝岐村の子供達が一体の石の地蔵尊の首に縄をつけ,引きずりまわして遊んでいたのを村の長者が見つけ,
「そんな悪い遊びはやめなさい。」
と言い,子供達に金を与えて地蔵尊を家に持ち帰り,お堂を建て安置し日夜礼拝を続けていたが,何故か長者の家には凶事が絶えなかった。
そうしたある夜,長者の夢枕に地蔵尊が現れ,
「御身の志はありがたいが,子供達と一緒に遊べないのが淋しい,どうか元通り道端に立たせて欲しい。」
と言い姿を消した。
そこで長者は元通りに地蔵尊を道端に立てて置いた所,その後凶事は起こらず,安穏に暮らしたといわれる。
2 解説
上記の話のように,子供達と遊ぶことが好きで,それを咎めた大人を祟る地蔵尊の話はよく聞かれるところである。特に,地蔵尊(地蔵菩薩)は子供の守り神であると信じられてもいる。
なお,この地蔵尊が同村のどの辺りに存在していたが,また,現存するかは残念ながら不明である。