1 概要
河童はほうきに化けると言われている。
いつの頃か,桧枝岐に住む三九郎という者の厩で,河童が柴で作ったほうきに化けて遊んでいたのを家人が見つけて捕らえた。
そして,
「これからもこのような悪さをするようなら思い切りこらしめなければならないが,これきりなら許してやる。」
と言うと,
「もう決してこないから許してください。」
といい,詫び証文を書いたので放免してやったところ,それから河童は姿を見せなくなった。
しかし,証文はその後の火災で焼失したという。
2 解説
桧枝岐村にも当然いくつか河川が流れているが,残念ながらどの河川から現れた河童かは不明である。
しかし,かなり標高の高い河川に生息する河童であることは間違いなく,また,この辺りの河川はさほど水深がないことから,河童の生態というものには様々な種類があるのではないかと想像させてくれる話である。