1 概説
福島市と山形県米沢市を結ぶ国道13号線の傍らにある,かつての宿場町で,現在は廃墟のみが残るが,保存状態は良いようである。
この場所でも怪奇現象が発生するとされており,夜中,同地を訪れたところ,それまで問題もなく運転できた車に突然不調が発生したという。ただし,同地で怪奇現象が発生する理由は全くの不明である。
2 解説
大瀧宿の成立は,近くにある栗子峠の成立と密接な関係がある。
大瀧宿は栗子峠を含む,福島市と山形県米沢市を結ぶ道路「万世大路」を造るための前線基地として明治10年(1877年)頃に設けられた。その後,万世大路が完成すると,当時の難所・栗子峠の宿場町として重要な役割を担ってきた。
しかし,その役割もそう長くはなく,明治32年(1899年)に奥羽本線が開通すると宿場町としての機能は消滅した。その後も,同地に住人は存在していたが,現在の国道13号線の開通等様々な要因により,昭和54年(1979年)に最後の住民が離村,集落は消滅した。
なお,昭和60年(1985年)には,茶屋や芝居小屋を造り,観光拠点としようとの試みもなされたが,結局長くは続かず,現在は完全に廃墟化されている。
さて,上記の怪奇現象話であるが,他の心霊スポットでも見られる話の一つで,本当に同場所が心霊スポットといえるのか,正直微妙な気がしてならない。
むしろ,上記のように,同地はその活動期間は短いものの,明治以降に完成した珍しい宿場町であり,一種の史跡である。心霊スポットとして扱うよりも,当時の道路事情を伝える貴重な歴史を後世に残すことを考えるべき場所だと思われる。