福島県心霊スポット情報

福島県心霊スポット情報

福島県内の心霊スポット(全国に拡大予定、まずは東北から。)の概要とその情報について,霊感ゼロの四十雀が独断と偏見を交えつつ解説したいと思います。

高田城の蛇妻(大沼郡会津美里町)

1 概要

 昔,高田城に小俣右京太夫幸高という殿様が住んでいた。

 ある日,右京太夫が狐狩りをしての帰り,雷神様の側を通ると,突然馬がいななき棒立ちとなり,危うく落馬しそうになった右京太夫は慌てて馬を静めながら,馬が何に驚いたのだろうと思い夕暮れの雷神様の方を見ると,そこにはあやめのように美しい娘が一人,休んでいた。

 右京太夫はこれまでにこのような美しい娘を見たことはなく,このままこの場所に捨て置く訳にもいかないため,娘を城に連れて帰った。
 日が経つ程に右京太夫は娘を気に入り,妻の座にすえて大層可愛がり,娘もまた右京太夫にかしづき,幸せな日々を送っていた。

 ところがある日戦争が始まり,高田城に多くの敵が押し寄せてきた。丁度この頃,堀の水が枯れており,敵兵は今にも空堀を渡る勢いであったが,その時,右京太夫の妻は堀の端まで出て何やら呪文を唱えると,不思議なことに空堀に水が溢れ,敵兵達は水に溺れ,一時退却を余儀なくされた。

 しかし,敵兵は再び押し寄せ,高田城を四方八方に囲み火矢を放ち火攻めにした。城側はなす術も無く落城したが,最後の時,巨大な火炎と一緒に,一匹の大蛇が天に向かい登ったという。

 土地の人々はその蛇は右京太夫の妻と言い伝え,その化身が祟りをなさないように普済寺を建て菩提を弔ったが,やがてその寺も廃れ,現在は「布歳地」の地名が残るだけという。

2 解説

 高田城は15世紀頃に築かれたとする城で,在地領主渋川氏の居城とされる(一説には,天海僧正の母親が住んでいた城ともされる。)。同氏は同城を中心に勢力を伸ばしたが,それを良しとしない蘆名氏が文明11年(1479年)に攻撃,落城したという。その際討ち死を遂げた者の中に「小俣氏」(渋川氏一族)がおり,上記の話にある右京太夫とはこの人物を指すものと思われる。

 また,土塁の一部に雷神社が現存しているが,上記の話に出てくる雷神様を指すかどうかは不明である。