福島県心霊スポット情報

福島県心霊スポット情報

福島県内の心霊スポット(全国に拡大予定、まずは東北から。)の概要とその情報について,霊感ゼロの四十雀が独断と偏見を交えつつ解説したいと思います。

亀姫(耶麻郡猪苗代町)

1 概説

 寛永17年(1638年),会津藩主が加藤明成の時代,猪苗代城代は,禄高一万石の堀部主膳という人物であった。

 ある年の年末のこと,主膳が一人座敷にいたところ,どこからか「かむろ(童女)」が現れ,「あなたは久しくこの城にありながら,ここの城主にお目見えがない。ご城主はまたとなくお腹立ちになっているが,今日は特別のお計らいにより,お目見えをお受け下さろうとの思し召し。急ぎ身を清め,裃を着用して直ちにまかるように。」と言う。

 これを聞いた主膳はかむろを睨み,「本城主は恐れ多くも加藤明成公,そして城代はこの主膳である。他に城主などあろうはずはない。うぬは何奴,とっとと消えるべし。」と一喝した。

 するとかむろは笑い,「姫路の長壁様,猪苗代の亀姫様を知らぬとは・・・そなたの天運もすでに尽きたり。」と言い残し姿を消した。

 その年はそのまま何事もなく過ぎたが,翌年の元旦のこと,主膳が諸子達から年賀を受けるべく裃を着て広間に出たところ,広間の上段には新しい棺,その側には葬礼の道具が一式置かれていた。主膳は烈火の如く怒るが,誰の仕業かは不明であった。また,同日の夕方,大勢のかむろが現われ,賑やかに餅を搗く音をさせたりもした。

 このようなことがあった正月の十五日,主膳はふとしたことから患い床に入り,二十日の明け方にはとうとう帰らぬ人となった。

2 解説

 慶応4年(1868年)の戊辰戦争時に焼失するまで,猪苗代城は存在しており,そこに城代が置かれていた。
 この城に住むとされていた亀姫は,上記のとおり,姫路城の天主に住んでいた長壁姫という妖怪と姉妹といわれている(なお,長壁姫の正体は狐とも,井上内親王が息子である他戸親王との間に生んだ不義の子などともいわれている。)。
 長壁姫はかなり著名な妖怪の類なのだが,なぜその妹とされる亀姫が同城に棲み付いていたのだろうか,その理由は不明である。