思えば、私が若い頃、そう、1990年代から2000年代にかけて、「福島県における心霊スポット」として知名度がダントツ1位の場所と言えば、紛れもなくこの、耶麻郡猪苗代町(翁島)にある幽霊ペンションが挙げられたと思う。
それは恐らく、霊能者として名高い宜保愛子氏(または別の霊能者か? 記憶が些か心もとない。)も訪れたという点で著名になったためと思われるが、私自身も確かに、若かりし頃は友人とともに冷やかしで幾度か訪れたものである。
しかし、ふと考えてみると、令和の時代になり、同ペンションの話はあまり聞くことはなくなったやに思う。
すでに宜保愛子氏が他界してだいぶ時代が経つし、また、同ペンション自身、いつの頃からか入るのが困難になった(道路が塞がれた)等の話も聞く。
さらに言えば、2000年代以後、もっと新しい「心霊スポット」が福島県に登場し、そちらに関心が向かれたためかも知れない。
ところで、同ペンションは、よくまことしやかに、オーナー及びその家族がこの場所で命を落とし、その幽霊が現れると囁かれている(真実は分からない)のだが、他方、文献によれば、宜保愛子氏(または別の霊能者)が同地を訪れた際、オーナー一家の幽霊ではなく、猪苗代湖で命を落とした者の幽霊がこの地に集まってきていると指摘したと記憶している。
もしそれが真実なのであれば、その幽霊の安住の地として、むしろこのまま人々の関心から離れ、そして記憶から消えた方が良いのかも知れない。