１ 解説
郡山市大町一丁目にある湯殿山大日如来堂は，行者山海が出羽国の湯殿山より奉じ，庵を建てて安置した物である。
明治維新以前は，奥州街道に面しており，郡山宿の北集落の信仰を集めていた。しかし，明治維新後の神仏分離の布達が発せられたため，世話人が相談して，本尊を如法寺に移した。
明治18年（1885年）8月，大町四丁目の一隅より失火した火事で町内の大半が焼失，その際，女郎屋の主人が妻子を助けるため火の中に入ったが帰らず，また，それを助けるために火の中に入った者もまた焼死した。焼死者は，大日如来堂の移転の際の世話人だった。
また，堂移転の世話人の家に狂人が出たりするなど不幸が重なったため，人々は大日如来堂の仏罰ではないかと噂し，町内の信者一同の希望で新しい世話人が土地を役場から払い下げてもらい，新たな如来堂を完成させた。
２ 解説
上記の話について，一度移転した場所である如法寺は現存しているのだが，その後，戻った先の如来堂がどこにあるか，残念ながら場所が分からない状態にある。今後，調査をしてみたい。
例え神仏であっても，意に沿わないことをされると，仏罰を起こすという話のようである。
