令和2年1月16日 改訂
１ 概要
弁天山は福島県庁に程近い場所にそびえる山で，福島市を流れる阿武隈川の東側に存在している。遺構として「椿館」と呼ばれる舘跡があることから「椿山」と称されることもある。余談であるが，この椿舘は，小説・説話として有名な「山椒大夫」に登場する安寿と厨子王，そしてその父である岩城判官が住んでいたと言われている。
弁天山には公園や広場，展望台などが設置されている，比較的整備されている山である。そのため，散歩などに気軽に訪れることができる場所でもある。
しかし，情報によると，同山には廃墟・廃屋の類の建造物があると言われている。元動物病院などと噂されているこの建造物は幽霊屋敷であるとされていて，この建造物内部で写真を撮影すると，高確率で心霊写真が撮れるといわれている。
また，怪談話で有名な稲川淳二氏も，心霊番組の撮影の類で同山を訪れたことがあるとされている。
２ 解説
上記の廃墟についてであるが，同所において自殺者が出た，また，殺人事件が発生した，など，全国各地の廃墟にありがちな話がまことしやかに伝わっている。ただ，残念ながら，本当にそのようなことが存在したのか，それを裏付ける事実が確認できていない。
そもそも，建造物の存在や，仮に存在していたとしても，元動物病院なのか（病院との噂も）裏付けが取れていない。
また，以前，地元民からの話として聞いたことがあるのだが，同山付近一帯は実は不吉な場所で，近寄らないほうが良いという話もある。ただし，その理由自体は全く不明である。
なお，私は以前，福島市内に住んでいて，小学生時代，同山に課外授業の一環で訪れたことがあるのを記憶している。かなり古い話でうろ覚えの記憶なのだが，同山には確かに公園が整備されており明るく，とても心霊スポットと噂されている場所には思えなかった。
また，成人し就職後一時期，同山附近に住んでいたことがあり，何度か同山の周辺を通ったことがあるのだが，手入れされていない木々が鬱蒼と茂り，訪れる者がいるのかどうか分からない場所に感じていた。無論，私が同山を訪れることはなかったが・・・。
令和元年9月16日追記
上記のとおり、弁天山にはかつて「椿館」と呼ばれる城館が存在していた。「信達一統誌」（志田正徳著、天保12年（1841年））によれば、岩城判官政氏が、「信達絵図」によれば、伊達氏の家臣持地遠江守の居城とされている。
また、「関城書」によれば、南北朝時代の武将、北畠顕家の一族顕国（春日侍従顕国とも）が居城としていたとされている。
「山椒太夫」の話が真実かどうかは不明であるが，同場所には少なくとも「舘」が存在していたのは事実であり，そうすると，合戦等人の生死に関する駆け引きが行われていた場所である可能性はある。
