かつて,福岡市を通るJR鹿児島本線には,米一丸踏切と呼ばれる踏切が存在していた(現在は高架線化されており存在しない。)。
同踏切は事故が多く,それは,米一丸の祟りではないかと噂されていた。
米一丸については,次のような伝承が残されているので,要約を記すと,
文治年間(1185年~1189年)。
駿河国に住む米一丸という人物には,八千代姫という美しい妻がいた。
しかし,米一丸の主人がその姫に横恋慕し,米一丸に対し,「博多国に行き,刀を取り戻して欲しい」との命を与える。
主命に従い博多に赴いた米一丸だが,これは主人の罠であり,米一丸は博多にて刺客に襲われ重傷を負い,ついには箱崎の地で自害して果てる。
そして,夫の訃報を聞いた姫もまたその後を追い果てる。
というものである。
米一丸は箱崎の人々の手により厚く葬られ,現在も米一丸の塔(米一丸地蔵尊)として供養されている。
先の踏切事故と米一丸の関係は不明であるが,当時,地元では米一丸と関連していたのではないか噂されていたと言われている。
幸い,踏切がなくなった後,この地で事故は起きていないというのだが・・・。