出羽三山は,村山地方と庄内地方に広がる月山・羽黒山・湯殿山の総称で,崇峻天皇の皇子である蜂子皇子が開山したと伝わる,修験道を中心とした山岳信仰の場として著名である。
また,同山は,世界にも例をみない日本独特のミイラ,「即身仏」のメッカとしても有名で,鉄門海上人,真如海上人,本明海上人など名僧の誉れ高い即身仏を輩出していおり,現在日本にある即身仏の3分の1が,同山で修行した修験者のものなのだという。
即身仏とは,自分の遺志で,生きながら土中に埋められて餓死した修験者のミイラで,3年~20年もの長い修行の間,2000日にも及ぶ断食などを経た上で,土の中に通気孔用の青竹を差した石室を作り,その中で小さい鐘を鳴らし経文を唱えながら入滅,その後,三年間地中に埋めていた後改めて掘り出されて完成する,というものである。
このように過酷な修行を経る必要がある即身仏であるが,修験者の中には,完全な即身仏になれなかった者も数多く,苦しさだけを恨んで死んでいった修験者達の幽霊が,今もなお同山では数多く目撃されるのだと言われている。