今回,心霊スポット候補地としてご紹介する場所は「庭坂事件発生現場」である。
庭坂事件と聞き,具体的にそれが何の事件であるか,分かる方はあまり数多くはないだろう。
この事件は戦後間もない昭和23年(1948年),当時の国鉄奥羽本線を走行していた車両が突然脱線,機関車と郵便車が10メートル下の土堤の上に転落して岩と衝突,岩石の破片の直撃を受けた機関士や機関助士,そして技師の3名が死亡した事件である。
本件事故に関しては,捜査の結果,板目や犬釘,ボルトなどが人為的に外されていることが確認されたが,誰が何のために実行したのか詳細は分からず,結局真相は闇のままで終わってしまった事件である。
ここまで記載して,歴史に詳しい方であれば,同じく福島県内で発生した「松川事件」を思い出される方も多いと思われる。
松川事件は庭坂事件の翌年である昭和24年(1949年)に発生した列車転覆事件で,ボルトが緩められていたり犬釘が抜かれていたという点,また,最終的に未解決となった点,庭坂事件に類似している(なお,松川事件においても機関士1名と機関助士2名の計3名が死亡している。)。
ところで,この松川事件の事故現場付近には,昭和39年(1964年)に建てられた「松川の塔」があるのだが,現在,この地は心霊スポットであるとされている(余談だが,昔からこの周辺の踏み切りでは事故が多いという話もあるらしい。)。
なぜ松川の塔付近が心霊スポットとされているのか,その原因は不明なのであるが,それであれば,松川事件と同人数の犠牲者が発生した庭坂事件の事故地というのも,心霊スポットになっている可能性があるのではないか・・・と思われてならない。
現在では少しずつ,両事件の記憶が人々の中から消え去ろうとしているのだと思う。
真相が解明される日は来るのであろうか。