福島県心霊スポット情報

福島県心霊スポット情報

福島県内の心霊スポット(全国に拡大予定、まずは東北から。)の概要とその情報について,霊感ゼロの四十雀が独断と偏見を交えつつ解説したいと思います。

豆腐屋の娘の幽霊(伊達郡桑折町)

1 概要

 昔,伊達郡桑折町西町の豆腐屋の娘が17歳になった正月,友達の家に遊びに行き酒を馳走され酔って帰り,そのまま炬燵に入り寝てしまった。
 酷く酔っていた娘は前後も知らず寝ているうちに,着物の裾に火がついたことも気がつかず,慌てて飛び起きたときには半身火に包まれていた。
 娘は慌てて池の中に飛び込んだが,水火の責めを一時に受けた娘は,その日から枕も上がらぬ大病人になってしまった。

 それを聞いた娘の友達が見舞いに来たが,その美しく結われた髪を見て,
 「いいわね,あなたは,そんなに美しく髪なんか結っていて,私はもう死ぬんだわ。」
 といいながら一心に美しい友の髪を見つめているので,友の娘も始めは色々と慰めていたが,しまいには気味が悪くなり,暇もそこそこに逃げ帰った。

 二,三日過ぎてから,桑折寺の梵妻が,
 「豆腐屋の娘はもう助からないね。」
 と町の内儀が話して去った後に,住僧の留守中,その娘の事を思いながら勝手元で働いていると,誰か山門から入って来るらしい軽い足音が聞こえ,本堂に上がり礼拝するらしい気配があったが,しばらくすると庫裏の方に来て,戸を開けて入って来た。それは見ると豆腐屋の娘で,新しい着物を着て,髪も美しく結っていた。娘は上がり込んで丁寧に挨拶をしたが,その顔色といい,声音といい,少しも病人らしいところがなかった。

 梵妻は怪しいと思いながらも茶でも出そうかと思い,勝手口から茶道具を運んできてみると,今までそこにいた娘の姿が消えていた。同時に背中から冷水注ぎかけられたような寒気を催した。その時,町の人が来て,豆腐屋の娘がたった今息を引き取ったとの知らせであった。

 翌日娘の遺骸は桑折寺の裏の墓地に葬られた。
 その夜のまだ宵の口,先に見舞いに行って髪を羨ましがられた娘が,家で親兄弟と不幸な友の身の上を語り合っていると,結い立ての髪の元結がぷつりと切れたという。

 また,同じ夜の深更に,桑折寺の本堂でひと声,女の叫び声が聞こえたと思うと,本堂の中を走り回るような乱れた足音が聞こえた。住職は小僧を起こし本堂来て見ると,墓地に葬られた豆腐屋の娘が走り回っている。それを見た住職と小僧は声を張り上げて読経をすると,一刻も過ぎたと思う頃,このおてんばな娘の幽霊も,さすがに疲れ果てたのか姿を消した。そんな事が七夜続いていたが,その後は姿を現さなかったという。

 なお,桑折寺には仏壇の欄干が一箇所折れた所があるが,それはその娘の幽霊が踏み折ったと伝えられている。

2 解説

 相当古い時代(明治維新以降?)のようで,いつの頃の話かは特定できない。
 ただ,桑折寺は現存している寺で,天文17年(1548年),当地にあった桑折西山城が破却された際,城内にあった門を拝領し移築しているという(現存する。),由緒ある寺である。