広島港の南約3Km,瀬戸内海に浮かぶ似島は,面積約3.87㎡,広島市内の島としては最大で,約700人程の人が生活をしているという。
島の北側には「安芸小富士」と呼ばれる標高約278mの山があり,その眺めは広島湾や広島市街からも一望することが可能である。
ところで,似島には悲しい歴史がある。
昭和20年(1945年)8月6日,広島市に原子爆弾が落とされた際,熱さから逃れるため海に入り,そして力尽きた人達の遺体が潮流の関係で同島に数多く流れ着いたのだという。
また,同島には陸軍の検疫所が設けられており,原子爆弾投下後は臨時の野戦病院として運営され,約1万人もの市民が運ばれたと言われている。
しかし,その多くは手遅れの方であり,やむなく同島に埋葬されることになったが,その数は相当数に上るといい,安芸小富士をはじめ,島内至る所に埋葬と言われている。
そのためなのだろうか,同島では遺骨が埋まるとされる場所を不用意に訪れると不可解な怪奇現象に遭遇すると言われている。
また,原子爆弾の被爆者だけではなく,陸軍の施設が置かれていた関係なのか,ラッパの音や軍靴の足音が聞こえるともされている。
現在は慰霊碑も建てられているそうであるが,これらの魂が休まる日は来るのだろうか。