宮古市と下閉伊郡岩泉町を結ぶ国道340号線,押角峠には古びたトンネルが雄鹿渡隧道である(なお,「雄鹿戸」とする資料もある。また,「雄鹿渡トンネル」とも呼ばれるらしいが,その場合は通常,JR岩泉線にあったトンネルを指すようである。)。
この隧道は昭和10年(1935年)に竣工した,長さ約580mであるが,戦時中に作られたこともあり,タコ部屋による過酷な労働が行われたとも,朝鮮人の労働者による手で造られたとも言われ,その工事中,多くの犠牲者が出たとされている。
また,その後行われた拡張工事において,人骨が発見されたとも言われている。そのため,同隧道では人柱が立てられたのではないか,と噂されているが,時代的に人柱が立てられたとは考えにくい。
ところで,同隧道は心霊スポットであるという噂もあるが,ここで出没する幽霊というのは,上記の労働者のものではなく,白いミニスカート姿の女性の幽霊,またはスーツ姿の男性の幽霊と,時代が比較的新しい幽霊のようである。
一説には,この近辺の川で身投げをした者がいる,トンネル近くで自殺を図った者がいるなど,心霊現象が起こる原因と思しき噂が存在しているようであるが,真相は不明である。