遠軽町にある瞰望岩は高さ80mほどの安山岩で構成された岩山で,約730万年に噴出して出来たといわれているこの岩山は,現在同町のシンボルにもされている。
アイヌの人達はこの岩山を「インガルシ=見晴らしのよいところ」と呼んでいたとのことであるが,この言葉が転訛し町名である「えんがる」と呼ばれるようになったのだという。
町並みを一望できる同岩には手頃に訪れることができるため,多くの観光客が訪れるとのことであるが,実はこの場所には,次のような歴史が伝えられている。
実は,アイヌの伝説によると,同岩では昔,湧別アイヌと十勝アイヌとの間で争いが生じた時に,湧別アイヌの砦として使われていたのだという。
十勝アイヌは大軍で岩山の下に陣を置き,死闘を繰り広げていたのだが,突然,同岩の下を流れる湧別川が氾濫を起こし,十勝アイヌは全滅したのだという。
そのような曰くのある場所のためなのだろうか,同岩は落下事故や投身自殺が後を絶たないと言われている。
そして,そのためだろうか,同岩周辺の民家には自殺者と思しい幽霊の目撃談があるとされているほか,近くの公園では誰もいないのに謎の足音が聞こえる,また,風もないのにブランコが動くなどの怪奇現象が発生するのだという。
また,同岩の写真を撮影すると,無数の人の顔や人骨の形の姿が写る,つまり心霊写真が撮影されることもあるのだという。
アイヌの伝説が史実かは不明であるが,現在も不可解な現象が起こる場所のようである。