福島県心霊スポット情報

福島県心霊スポット情報

福島県内の心霊スポット(全国に拡大予定、まずは東北から。)の概要とその情報について,霊感ゼロの四十雀が独断と偏見を交えつつ解説したいと思います。

怪異(南会津郡桧枝岐村)

1 概要

 尾瀬を源流とする只見川には,かつて産卵期を迎えると数多くのマスが遡上した。その時期には,桧枝岐村の山人達は川辺に構えた漁小屋に泊り込み,マスを捕獲していた。

 昔,義助という者があり,仲間達と小沢平に構えた漁小屋でマスを漁(すなどり)していたが,ある日のこと,義助は物思わしげな様子で小屋に戻り,腰籠の中から干からびたマスを取り出し,仲間にかざし見せた後,実は今日,変なものを見た,と話を始めた。

 義助が言うには,川底を,直径一尺(約30cm)程赤い玉がごろごろ流れて行くのを目迎したのだという。
 仲間達は,そのような物を見たときは逃げ帰るものだと諌めたが,義助は,明日こそはよく見てくると仲間達の忠告にも頑なに首を振った。

 そして明くる日,仲間達の止めるのを振り切り,義助は件の場所へ行ったが,その日,とうとう小屋に帰らなかった。

 心配した仲間達は村に戻り人を集め,数日間に渡り探したが,義助はおろかその痕跡すら何一つ見つけ出すことはできなかった。通常,川流れに遭えば何か痕跡が残るものだが,何もないことから,川流れに遭ったのではないと結論付けられた。

 ところで,義助が行方知らずになった折も折,義助の妻が産気付き出産したが,その赤子が変な泣き声を上げそれを聞くと同時に,妻は息絶えたのだという。

 後日,身寄りがワカの許に行き義助の口寄せをしたところ,俺は魔物に食われてしまった,骨は川上の某という断崖の岩穴にあるから始末してくれ,と告げられたという。

2 解説

 現在の只見川にはマス(ヤマメの降海したサクラマス)は遡上しないが,昭和初期頃までは阿賀川水系にダムがないこともあり遡上しており,山に住む人々の重要な食料・収入源とされていたという。少なくとも上記の話は,昭和初期以前の大分古い話と言える。
 なお,上記の「ワカ」とは巫女のことである。

sizyuukara-1979.hateblo.jp

 
 さて,山中では里とは違う,人知の及ばない怪異が発生したり魔物と遭遇すると言うが,この話の怪異(赤い玉や魔物)の正体が一体何か分からず,却って不気味な話であると言える。