令和2年8月26日 改訂
1 概要
双葉郡富岡町には「小良ヶ浜」という名称の地名が存在している。
国道6号線から太平洋側に進行し同所を通る道があるのだが,その途中,池又は沼のような,即ち「水辺」があるのだという。
ある人が夜間,この水辺付近を通行した際,その水面上を,白装束を纏い佇む女性の姿を目撃したという話があるのだという。
また,水辺だけはなく,道端で白い服を着てうずくまる女性を目撃したという話があり,その目撃者は不審に思い,その女性に声をかけたところ,立ち上がりこちらを振り向いた女性の顔が,まるで般若の如き恐ろしい形相をしていた,などという話がある。
一説によれば,この場所付近は,訳知りの住民は夜間,絶対近寄らない場所とされているのだという。
2 解説
国道6号線から小良ヶ浜に至る道ということであれば,恐らくは県道251号線(小良ヶ浜野上線)が上記で言う道路なのではないかと推測される。ただし,同県道沿いに,くだんの「水辺」があるかは残念ながら現地を調べてみないと不明である。
また,上記の女性が生者なのか人外なのか,さらに言えばそれぞれ同一の「何か」なのか,残念ながら不明であるし,そもそも何かしらの「いわく」がある地かどうかも不明である。
折を見て情報を収集したいところである。
最後に,この「小良ヶ浜」の近く,双葉郡大熊町には「小良浜」という似たような地名がある。
これは昔,この近辺の境界を定める際,人々が「おらの浜だ」,「いや,おらが浜だ」と言い争いとなり,その言葉が転じてそれぞれ「小良浜」,「小良ヶ浜」と名付けられたとされる。
この付近は戦国時代,同地をそれぞれ統治した相馬氏と岩城氏の所領の境である。これは私の個人的見解であるが,前記のような土地に絡む人々の怨念,また,所領を争うための合戦が行われてきた,因縁のある場所なのかも知れない。