1 概要
ある者が,焼畑の下の熊の沢という所に毎年葭小屋(よしごや)を掛けていた。
その場所はマムシがたくさんいたのだが,ある年,やはり葭小屋を掛けたところ,マムシが至る所に這い上がり,小屋中びっちりだった。
熊の沢のデト(出口)に熊野様があり,これは熊野様のお咎めだと思い,沢から水を汲み岡で身を洗い,熊野様にお詫びをして小屋の中に入ると,あれ程いたマムシが一匹もいなかった。
その後,その沢に行く際には,決してマムシは捕ってはならないと周囲に話した。マムシの多い場所ではあるが,それでも,誰もマムシに咬まれたという人はいなかった。
2 解説
「焼畑」が地名なのか,農業のことを差すのか不明である。ただ,「熊の沢」については,南会津郡只見町に流れている川のようである。
上記の話は,熊野様(熊野神社)の聖域に侵入したことについての祟りではないかと考えられる。