1 概要
郡山駅東口方面に,「お玉ケ池」と呼ばれる池が現在もひっそりと存在している。
この池は,江戸時代末期,郡山の中町にあった,とある老舗の遊女が,情夫の無情と抱主の仕打ちを恨み,この池に身を投げたことから,その遊女の名を取り「お玉ケ池」と名付けられたという,曰く付きの池である。
その後,この池ではお玉の幽霊が出たという噂が流れ,不気味さも漂うことから人々はこの辺りを通ることを嫌がり,周辺は荒れるに任せていたという。
なお,この辺りには「おさん狐」という人を化かす狐が住処としており,周囲の村人(横塚村)の人々は怖れていたという。
2 解説
江戸時代の郡山市(現在の郡山駅西口付近)は宿場町(郡山宿)で,大きな賑わいを見せていた。その頃の郡山宿には遊郭が存在していたほか,宿によっては飯盛女(宿場に存在した私娼)が置かれていた。お玉が遊女なのか飯盛女なのかは定かではないが,そのいずれかだったのであろう。
なお,宿場町としては栄えていた当時の郡山駅西口であるが,一方,郡山駅東口の方は藪続きの場所であり,相当寂れた場所であったようで,「おさん狐」の他にも,狐や狸に化かされた話が数々存在していたようである(郡山市が商都と化していくのは,安積疎水が完成し人口が流入して以後のことである。)。
令和2年3月17日追記
お玉ケ池の写真を撮影したので追加掲載する。
この道の先にお玉ケ池がある。
現在のお玉ケ池。写真中央、白い点のようなものはダイサギである。
残念ながら現在のお玉ケ池には殆ど水がない。