福島県心霊スポット情報

福島県心霊スポット情報

福島県内の心霊スポット(全国に拡大予定、まずは東北から。)の概要とその情報について,霊感ゼロの四十雀が独断と偏見を交えつつ解説したいと思います。

コックリさん

0 はじめに

 私か,私より上の世代の人には馴染みのあるコックリさん。友達と秘密にやったことがある方も多いと思われる(大抵の学校では禁止されていたと思われる。)。
 今回は,コックリさんについて,文献を元に様々な視点から考察してみたい。


 なお,コックリさんが何か分からない方もいるかと思うので,簡単にその概要を書かせていただくと,コックリさんは一種の占い,そして心霊現象(狐の霊を呼び出す降霊術)とされ,後述するように,呼び出したコックリさんに質問をし,その回答を得る,というものである(場所により「エンジェルさん」と呼称する場合もあるが,基本的に同様のものと考えている。)。


 今回,ここでコックリさんについて書く前に,とした参考文献は次のとおりである。

狐狗狸さんの秘密 二見書房 中岡俊哉著(以下,「秘密」という。)
明治奇聞 河出書房新書 宮武外骨著(以下,「奇聞」という。)
続・海軍よもやま物語 光人社NF文庫 小林孝裕著(以下,「よもやま」という。)
Wikipedia(以下,「Wiki」という。)

注意
 私が子供の頃は,コックリさんが原因で精神的に不調を来たす者(主に若年層)がいた,だからコックリさんをすることは禁止とされてきた(ただ,本当に精神的に不調を来たす者がいたのか,その点調べようもないの事実である。)。
 そのような経緯があることから,私自身,コックリさんを今更したいとは思わないし,他者にお勧めするものではない(ここで書いたのは,あくまで探究心からである。)
 もし,本文を見て,コックリさんを行う方がいた場合,それはあくまでその方の自己責任であり,不幸その他様々な事象が起きても,私が関知できるものではない旨,御了承願いたい。

1 歴史

 その起源は明確ではないが,西洋で行われていた「テーブル・タンニング」(数人がテーブルを囲み手を乗せると,やがてテーブルが独りでに傾いたり移動したりする現象が起きるとのことで,出席者の中の霊能力のある人間が霊媒となり,霊の意思が表明されるとされていた。)がルーツであるとされているようである(テーブル・タンニング自体は,ヨーロッパで15世紀頃には行われていたらしい。)。

 日本で行われるようになった起源については,明治18年(1885年),アメリカの船が伊豆の下田に寄航中,邦人に紹介したのが始まりとされている(奇聞,Wiki参照)。
 なお,「コックリさん」という名称については,前記明治18年に紹介してもらった際に,左や右に動く様を見て「コクリ様」と呼んだのを起源とする,また,明治16年(1883年),益田某という者がアメリカから帰国した際に伝えたことで「告理」と言ったことを起源とする説があるようである(奇聞,Wiki参照)。仮に後者が起源とした場合,コックリさんが日本で行われるようになった起源は明治16年となる。

 ただし,コックリさんがすでに江戸時代には行われていたとする文献もあり(秘密参照),その起源がいつか特定するのは難しい(鎖国をしていた江戸時代においても,オランダとの交易は小さいながらも行われており,そこからテーブル・タンニングが伝播した可能性は否定できない。)。
 ちなみに,現在では「狐狗狸」と漢字表記する場合もあるが,これは当て字である。

 文献によれば,コックリさんは日本に伝わるとすぐに広まったようで,例えば明治19年1886年)から翌20年頃には東京で流行し,ほとんどの家で行われていたという。現代の我々からは奇異に写るかも知れないが,様々な西洋文化流入した文明開化の時代である,異国の遊戯に強い関心を持った結果,広まったのであろうか。
 それがやがて地方へと伝播し,夜間,村の若者が寄り集まれば,コックリさんをして遊んでいたという(奇聞)。

 余談であるが,明治という時代は,江戸時代の旧習や因習,また民間信仰などを否定する傾向もあったが,それらに類いするようなテーブル・タンニングが受け入れられ,コックリさんへと変化したことは興味深いものである。

 さて,明治以降,日本各地に広まったと思われるコックリさんであるが,大きな戦争が発生する前,例えば,日露戦争明治37年(1904年)),第一次世界大戦大正3年(1914年)),第二次世界大戦昭和14年(1939年))などに流行したという(秘密参照)。戦争が発生しそうだという世情が人々を不安にし,コックリさんを行わせたのだろうか(流行の出所というのが,色町であるとする文献もある(秘密参照))。
 ちなみに,コックリさんは戦時中も行われていたようで,従軍経験者の手記の中にも,コックリさんを行ったという記述が見られる場合がある(よもやま参照)。

 戦後,コックリさんが行われていたかどうか,詳細な文献は未だ目にしていないが,少なくとも,1970年代に入ると,再びコックリさんが流行し始めることになる。その火付け役となったのが,つのだじろう氏の漫画「うしろの百太郎」で,ここで紹介されたことにより,特に少年少女の間でブームとなったという(Wiki参照)。
 私が小学生時代というのは1980~1990年代で,うしろの百太郎を知らない世代であったが,コックリさん自体の名前は知っていた。多分,同級生から聞いたもので,一度,小学校の中で興味本位で行ったのを記憶している。
 なお,周囲に若い人間がいないため,現在の世の中で(特に小中学生の間で),コックリさんがどの程度認知されているのか,残念ながら私は知りえていない。


2 やり方

 コックリさんの一般的なやり方としては,次のようなものが挙げられるのではないだろうか(私自身が聞き及んだ話及びWiki参照)。

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※一般的なコックリさんで使用する紙

①人数は3人(最小限3人,という意味のようである。)。
②紙に「はい,いいえ,鳥居の絵,男,女,0~9の数字,五十音表」を記入する。
③上記②の紙を机に置き,硬貨(一般的には10円玉)を鳥居の上に置き,全員が人差し指をその10円玉の上に置く。
④全員が力を抜いて「コックリさん,コックリさん,おいでください。」と唱えると,やがて硬貨が動き出す。

 ただ,コックリさんのやり方は,時代や地方により,様々なやり方があるようである。以下,それら様々なやり方を見て行きたい。

a 明治時代(Wiki,奇聞参照)

①三本の竹を交差的によじる(三本の竹が自立するようにする。)。
②上記②の上にたらい又は大盆を伏せて乗せる。
③3人以上の者が集まり,その台の上に軽く手を乗せて,指と指とを接触させて吉凶の有無などを占う。
(これは,テーブル・タンニングのやり方を忠実に再現したもので,当時の日本にはあまり机がないため,竹やたらい,大盆を利用していたようである。)

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※上記の図はあくまでイメージである。

b 昭和時代1(よもやま参照)

 以下,戦時中におけるコックリさんの様子である。

①割り箸大の棒を三本用意し,真ん中より上を縛り,三脚均等に開く。
②紙に「五十音表(イロハ又はアイウエオ),0~9の数字」を原稿用紙のように一ます一字で書く。
③上記②を机に置き,さらに上記①を置く。
④一人ずつ上記①の棒の先に人差し指を柔らかくあてがい,自分で動かすことがないようにする。
⑤精神を落ち着け,目をつぶり呪文を唱える(「篠山,葉山,羽黒の大権現,豊川稲荷大明神」など)。
(この場合,行う場所に戌年生まれの人がいないこと,日没後暗い時分に行うこと,からかい半分ではないこと,何でもいいからお供えをあげること,が大事だという。)

c 昭和時代2(秘密参照)

 以下,時代的に昭和30~40年代,戦後のコックリさんのやり方についてである。

①新品の割り箸を輪ゴムまたは糸(白か黒の木綿糸)で,上の三分の一辺りを縛り三脚均等に開く。
②紙に「五十音表(イロハ又はアイウエオ),0~9の数字,鳥居」を書き入れる。また,お猪口一杯の日本酒,米,そして皿に乗せた油揚げを用意する。
③上記②を机に置き,車座に座る。なお,部屋はなるべく暗く,ろうそくの明かりを照明とするとよいという。
④人数は最小限3人で,コックリさんを送り迎えする役目,コックリさんが乗り移る役目,コックリさんに質問をする役目に分かれる。
⑤コックリさんを迎える役目の人が,その家の東の方向にある窓もしくは戸を10cm程開けて,両手を合わせて「コックリさん,コックリさん,おいでください。」と三度唱える(なお,唱え方は地方により異なるという。)。
⑥コックリさんを迎える役目の人の体が心持ち重くなるので,その人は両手の手のひらを上にし,水をすくうような形にして,部屋に戻り,文字盤脇に備えた日本酒等を示し,コックリさんが乗り移る役目の人の方にその両手を軽く乗せ,「コックリさん,この人に乗り移ってください。」と言ってからその両手を下げる。
⑦3人が割り箸の先に指をかけ,文字盤すれすれに割り箸を持ち上げて伺いを立てる(スタートは鳥居マークから。)。

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※旧来のやり方で使用するコックリさんの紙

 このように見てみると,コックリさんのやり方についてはいくつかの変遷がなされてきたことがよく分かる。
 特に,昭和30~40年代以降は,硬貨(10円玉)を用いた方法が用いられるようになったほか,地方ごとにそのやり方が大きく変化している(例えば,コックリさんを呼ぶときに唱える呪文の内容の違い)ため,やり方にどの程度の種類があるか,また,どのやり方が正しいのか,確認する術がないと言えよう。

d いわき方式(秘密参照)

 最後に,昔,いわきで行われていたという方法をご紹介する(コックリさんではなく「霊魂さん」と呼ばれていたらしい。)。

①紙に「はい,いいえ,わかりません,鳥居の絵,0~9の数字,五十音表」を記入する。
②上記①を机の上に広げ,その上に10円玉を置き,それを2人(A,Bとする。)で押さえる。
③Aが「霊魂さん,霊魂さん,Bさんの霊魂を招んでください。」と何回も唱えると,10円玉が動き出す。

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※いわき方式で使用する紙

3 その他

 一般的に,コックリさんの現象というのは,参加者の潜在意識が反映され,無自覚に指が硬貨を動かすとされている(また,筋肉疲労により動いてしまうとも。Wiki参照)。
 また,オカルト的に言えば,狐の霊によるもの,人間の霊によるものともされている。
 コックリさんで一番怖いのは,コックリさんが来たと信じ込む(特に,コックリさんを終えた時,コックリさんが帰ってくれないと信じ込む。)こと,また,託宣で出た結果を信じ込む点だといわれている(信じ込んだ結果,精神的に不調をきたすというもの。)。

 私自身,子供の頃にコックリさんを興味本位で実施した者であり,コックリさんというものがいる,いないとも,当たる,当たらないとも言えないが,上記のような歴史ややり方の変遷を見てみると,本当に素人が簡単に呼び寄せることが出来るものなのか,疑問がないわけではない。
 一種の「遊び的要素」のあるものであり,自己暗示にかかりやすい方,不安症な方などは,特にこのようなことをしない方がいいのではなかろうか。