福島県心霊スポット情報

福島県心霊スポット情報

福島県内の心霊スポット(全国に拡大予定、まずは東北から。)の概要とその情報について,霊感ゼロの四十雀が独断と偏見を交えつつ解説したいと思います。

百物語の事(会津若松市)

1 概要

 中林弥一右衛門という人が、ある日友達を集めて四方山話をしていた際、昔から百物語をすると怪しいことがあると言い伝えがある、私も試してみたいと思っていたが、良い友達がいなくて実現できなくていた。皆さん、やってみませんかと持ち出してみたところ、皆もそれは面白い、やってみようということになった。

 しかし、お互いの屋敷では、もしものことがあった時婦女子の騒ぎになっては大変、しかも女のくせで、少しのことでも尾に鰭をつけられて喋られては世間の聞こえも悪いので、どこか離れたところで行った方がよいだろうと、城下の南、雨屋村の薬師別当泉王寺を借り、友達4,5人で催すことになった。

 当日は法式のように、行灯を青紙で張り、燈心を百條立てて、皆も青黒の着物を着て日の暮れるのを遅しと待っていた。そして、酉の刻(午後六時)になったので円座となり、化物語を始めた。化物語を一つすると燈心を一條ずつ消してゆくのである。
 段々語り続けて5,60も過ぎた時、町の方から提灯を下げ、飛ぶように駆けてくる者がいる。見ると、中林家に永年仕えている者であった。
 弥一右衛門はこれを見て、何事かあって来たのか問うと、お袋様が夕食過ぎから急にお苦しみになられ、次第に激しくなられる様子なので、医師をお呼びすると同時に、こちらへもお知らせ申したらと急いで参りましたという。皆も残念ながらもはや話を続ける訳にはいくまい、早く帰って病人の看病を、と言うので、終仕舞もそこそこに急ぎ帰った。
 一里半の道のりなので、家へ着いたのは八ッ過ぎ七ッ頃(午前二時~四時)であった。門を荒々と打ったが、家の内は寝静まり誰もなかなか起きてはこない。ようよう起きて門が開くや飛び込み、母の部屋に走り、どうですかと様子を伺うと、母はぐっすり眠っていて変わった様子もない。不思議に思い妻を起こして尋ねたが、キョトンとしてなんの事かと却って不思議そうにしている。また、雨屋村に使いに行った者もないという。
 翌日、心配して訪ねてきた友達にこの事を話すと、百物語の験があって化かされたな、と笑いとなったという。

 また、遠山久兵衛が若い頃、百物語をしようと法式の通り始め、話が50余りになった時、障子の間から内を覗く者がある。よく見ると真っ白な顔の女で、覗いては引っ込み、引っ込んではまた覗くという具合であった。
 集まった人々もそれぞれ見つけ不思議に思い、自然と話が身につかず、たまりかねて話をやめて障子際に立って行ってみると、なんのことは無い、やぶけ障子が、風の吹くたびにふわりふわりと動いていただけであった。遠くから見るとそれが色白い顔のように見えたのである。この騒ぎで話も百にならないで終わりになってしまった。百物語は容易なことではない。

2 解説

 一般的に百物語は、全ての話が終わった時に怪しい事が発生するとされているが、この話はその途中で怪しい事が発生している。もし、百の話をしてしまうと、もっと恐ろしいことが発生するのだろうか(とはいえ、百の話をするのは容易ではないだろう。)。