福島県心霊スポット情報

福島県心霊スポット情報

福島県内の心霊スポット(全国に拡大予定、まずは東北から。)の概要とその情報について,霊感ゼロの四十雀が独断と偏見を交えつつ解説したいと思います。

新町化物の事(会津若松市)

1 概要

 会津城下に新町という侍屋敷があった。この一番丁の東側,後藤良右衛門の住んでいる家のことだが,古いことで当時の家主が誰かは不明である。
 しかし,世人の語り伝えるところによると,当時は連歌が盛んで,近所の人がこの家に集まり,色々連歌を作り遊んでいたという。

 ある時,近所の寺の小僧もこの座に加わり,一句勧められたため,「今宵の月は空にこそあれ」という下の句を作ると,辺りの人達は「月はいつも空にあるもの,地に月があるはずがないではないか。」と嘲り笑った。
 小僧は赤面し寺に帰り,とても恥ずかしいと首をくくり死んでしまった。

 それ以後,毎晩この家に小僧が現れ,「今宵の月は空にこそあれ」と言いワッと叫ぶ,その声が物凄く恐ろしいと評判になり,家主も恐ろしく,神社や寺院,修験などに祈祷を頼んだが全く効果はなく,やがてこの家に住む人はなくなり空屋敷となった。

 ところが,ある侍に考えがあり,この家を望んで頂いて移り住むと,夜,小僧が現れるのを待った。
 やがて,夜半過ぎから小雨となり,風も吹き始めると,庭の笹がさらさらと鳴り,例の小僧が現れて「今宵の月は空にこそあれ」と言い,ワッと叫ぶ瞬間,件の侍は座敷の障子をさっと押し開き,「影うつす水は氷にとじられて」と上の句をつけた。
 すると,小僧の姿はかき消すように失せて,二度と現れることはなかったという。

2 解説

 この話には別のパターンがあり,その場合,身を投じたのは若侍である。別パターンが存在していたということは,比較的知れていた話であると思われるし,頓知を聞かせた解決方法もまた,それを物語っていると言える。実話というよりは,作り話のような気がしてならない。