福島県心霊スポット情報

福島県心霊スポット情報

福島県内の心霊スポット(全国に拡大予定、まずは東北から。)の概要とその情報について,霊感ゼロの四十雀が独断と偏見を交えつつ解説したいと思います。

牛屋敷の化け物(会津若松市)

1 概要
 
 会津城下郭内五ノ丁という所に,「牛屋敷」と呼ばれる家があった。「牛屋敷」というのは,この家に何か吉兆がある時,牛が出て後園を歩くことからこのように言われているという。

 この家の主が,一年程猪苗代城代として赴くことになり,留守番として召使いの老夫婦を家に置いて行った。老夫婦は,老夫は長屋に,老婦は母屋にそれぞれ別れて臥していた。

 ある夜の明け方近く,老婦はふと目覚めると,17,8歳位の娘が大振袖を着て茶の間を歩いているのを見つけた。
 老婦は,「どこの方かは存じないが,何の御用でこんな夜更けにおいでになったか,早くお帰りください。」と言い,また寝てしまった。

 しばらくして尿意を覚えたが,便所は遠いため夜明けまで待ち,夜明け後に便所に行き用を足そうとすると,前の菰の隙間から,赤い顔をして覗くものがあるのに気がついた。
 この老婦は恐れる気持ちがないので,今度覗いたら打ちこらしてやろうと拳を握り待つと,また赤い顔が覗いたので力任せに打ちついた。赤い顔のものはどこかへ逃げていく気配がしたので,ゆっくり用を足し,茶の間に戻り朝食の用意についた。

 やがて老夫が来たので,昨夜の事情を細々と話し,どうもこの茶の間の下辺りが怪しいと思うとして,茶の間の板をはがしてみると,大きな古狸が頭を割られて死んでいたという。
 そしてまた,老婦の力の強さにも驚かされた。

2 解説

 猪苗代城の城代は500石取りの中級知行取に該当するような藩士が任命されたようである。500石取り藩士の住む屋敷というのは約45坪の間口,面積があるようであり,かなり広い屋敷に老夫婦が二名で住んで管理していたようである。

 この「牛屋敷」では,吉兆が起きるしるしとして牛が歩くとされている。よく,吉兆が起きる際,座敷童子など,人型の怪異が家の中を闊歩するという話はあるが,人型以外,動物の型をした物が現れるという話はあまり聞いたことがないものである。