福島県心霊スポット情報

福島県心霊スポット情報

福島県内の心霊スポット(全国に拡大予定、まずは東北から。)の概要とその情報について,霊感ゼロの四十雀が独断と偏見を交えつつ解説したいと思います。

池上家の妖怪(会津若松市)

1 概要

 米代二ノ丁北側に,池上丈右衛門という知行250石の侍が住んでいた。この丈右衛門は,元々は同じ丁の南側に住んでいたが,この屋敷に移ってきた。

 引越しを終え,屋敷周りを見て回る最中,座敷の縁の下を見てみると,新しい瓦が積まれていた。丈右衛門は喜び,明日にでも下人を連れて取り出し何かに使おうと考え,翌日,再度訪れてみるが,そこには一枚の瓦もなく,不思議なこともあるものと思った。

 丈右衛門は一刀流を嗜み,座敷内を稽古場として,木刀や面を設け,自身は八畳の小座敷を使用していた。
 宵のうちは書を読み,読書に疲れると剣術を行う,このような暮らしを生涯の楽しみとしていた。

 ところが,彼が座敷に行灯を点けて,心静かに書を読んでいると,時々行灯の火がハッと消えることがある。火を点けてみると,油も燈芯も異状ない。
 そのようなことが何度かあると,丈右衛門も大して驚かなくなった。
 また,夜更けて人が寝静まってから,座敷の稽古場で一晩中木刀の音がすることがある。翌朝行ってみると木刀を入れてある箱は錠がしてあり,その鍵は自らの腰にある。果たして何者の仕業であろう。

 この丈右衛門,ある年屋敷替えで他に移ることになった。家財を運ぶため多くの人が手伝いに来てくれたが,丈右衛門は用事で外出し,遅くまで帰らない。そんな中,手伝いの人達は明日の引越しの準備のため,台所や茶の間で一生懸命立ち働いていたが,その時,例の座敷の稽古場で,大勢の声と木刀の音がしていたかと思うと,大石が空から落ちたような音がして,今にも家が倒れるかと思う程であった。
 女達は驚きひれ伏し,下男どもも腰を抜かす有様であったが,そのうちの一人に大胆な者がおり,何者の仕業か見届けようと座敷に近付き襖を開けると,座敷の方より石つぶてが飛んできて頭に当たった。その眼もくらむ程の痛さにその者はすごすごと引き返した。
 そのようなところに丈右衛門が帰り,門の戸を叩く音がしたところ,不思議なことに座敷の騒ぎはピタリと静まった。
 
 その後,この屋敷は誰も拝領することなく空き屋敷となったが,西の角の出格子の内に,散らし髪の女がいるのを通りがかりの人が何人も見たという。
 そして,それが何者の仕業であるか,ついに知る人がいなかったという。

2 解説

 会津藩で250石取りとなると,中・下級の知行取藩士に該当する(1000石以上が大身となるようである。)。
 当時の会津藩では,知行毎に屋敷の間口や面積などが決められていたようで,250石の場合,33坪である。丈右衛門が独り身か単身であったかは不明であるが,仮に独り身とした場合であれば,かなり広い家に独り,悠々自適に暮らしていたのだろう。