福島県心霊スポット情報

福島県心霊スポット情報

福島県内の心霊スポット(全国に拡大予定、まずは東北から。)の概要とその情報について,霊感ゼロの四十雀が独断と偏見を交えつつ解説したいと思います。

坂内郷右衛門狢を捕らえる(会津若松市)

1 概要

 会津郭内本三ノ丁の上南側に坂内又右衛門という侍が住んでおり,同人には郷右衛門という子供がいた。この郷右衛門が13歳の時のことである。

 この丁の東側に鉄砲の練習場があり,射撃練習の行われた朝に行くと,垜(的をかけるために砂を盛り上げたところ)に撃ち込まれた弾丸を拾うことができた。

 ある射撃練習の行われた朝,郷右衛門は夜が明ける前,まだ薄暗く辺りも分からない時分に練習場に駆けつけたところ,弾丸止めの塀の側にある大木からいびきが聞こえてきた。よく見ると,その古い大木の幹の中ほどには洞穴が開いており,その中からいびきが聞こえてきた。

 郷右衛門は不思議に思い,木に登り覗いて見ると,果たして社人のような白張りの着物を着た,60歳程の白髪の老人が寝入っていた。まだ幼い郷右衛門であるが,このような洞穴に老人がいるはずない,変化であろうと思い,急いで家に帰り,刀を押っ取り駆け出した。

 父親の又右衛門はこれを見て不審に思い,郷右衛門を呼び止めたが聞こえないらしく,一目散に駆けて行ったので,仕方なく召使いの男に後を追わせた。

 郷右衛門は練習場に戻り洞穴を見ると,老人はまだ元のまま寝入っていった。
 そこで郷右衛門は刀を抜き,上から狙いを定めて突き刺した。しかし,子供の刀ではとても突き止めることはできずにいた。
 この様子を見た召使いは,同じく木に登り二人で突き刺したところ,老人は大暴れして外に飛び出そうとするが,ついに二人は力を合わせ仕留めることができた。

 一方,又右衛門は,二人がいつまでも帰らないことに心配し,衣服を改め,刀を持ち二人を探すと,白髪の老人を刺し殺し呆然としている二人を見つけた。
 又右衛門は驚き,どこの老人かは分からないがこのままにはしておけないと,老人の死体を土手の上の林の中に移して菰をかけておき,近くの親類一族を呼び集め,どうしたものかと相談し,先方から探されないうちにこちらから名乗り出ようということになり,林に戻り菰を取ると,太陽の陽が死体に当たり,今まで老人と見えたのが幾年経たともしれない古狢であった。
 皆,郷右衛門の豪胆に驚いたという。

2 解説

 上記の話のネタ本では,タイトルが「坂内郷右衛門」,本文中が「坂本郷右衛門」とされていて,どちらが正しいのか不明であったが,本稿では会津地方に多い姓である「坂内」とした。

 現在で言うところの鉄砲の「射撃場」というのは当時「角場」と称していたが,会津若松城下には複数の「角場」が存在していたようで,確かに本三ノ丁(現在の会津若松市東栄町付近か)にも存在していたようである(歴史春秋社「詳解 会津若松城下絵図」)。