北東北(特に著名なのは恐山)に存在する「イタコ」の名称を聞いたことがある方は多くいると思われる。イタコは死者の霊を呼び寄せ,そして口寄せを行う一種の巫女である。
この稿で紹介する「わか」も、イタコ同様の巫女で,福島県内での呼び方である(わかは一つの呼び名で、同様の巫女の呼び名については複数存在しているようである。ここでは便宜上、「わか」という呼称に統一する。)。なお、「イタカ及びサンカ」によれば,わかとは「若神子」のことで,イタコ同様,婦人が主に就く職業である(「磐城誌料歳時民俗記」によれば,わかは瞽者の妻とされている。ただし、イタコのように、自身も瞽者かは不明である。)
わかもまた,イタコ同様死者をと交霊をする存在で,笹や数珠,梓弓などを手にして祈祷の文句を唱えると忽ち霊が降りてくるという(なお,他の地方と違い,福島県内の巫女は,大体一問一答型で聞いたことを答えてくれることである。)。時には呼んでいない霊が降りてくることがあるようである。
古くは数多くのわかが存在していたようであるが,現在どの程度の数がいるのかは定かではない。
ただ、わかのような民間土着の巫女という存在は、現在も細くではあるが、脈々と受け継がれてはいるようで、土地により、敬虔かつ畏怖の存在とされているようである。