1 概要
昔,いつの頃か,吉野作で乞食に洗濯してかけておいた着物を盗まれたことがあり,この作の人々は大いに怒り,乞食を追いかけ,盗まれた着物を取り返すと散々に打ち叩き遂に殺し,村の馬捨て場に埋めてしまった。
ところが,その乞食の霊がこの作に色々と祟りをなして困りきり,ついには僧侶を頼んで供養し,また,九月の幣束祭には,年々幣をあげて「死霊様」といいお祀りすることにした。これ以降,祟らなくなったという。
2 解説
吉野作は現在の「福島県いわき市平谷川瀬吉野作」を指すと思われる。
また,上記中に「幣束祭」とあるが,これは通常のお祭りを指すのか,または,幣束を作り,それを「祀る」ことを指しているのか,そして,現在も続いているのか定かではない。