福島県心霊スポット情報

福島県心霊スポット情報

福島県内の心霊スポット(全国に拡大予定、まずは東北から。)の概要とその情報について,霊感ゼロの四十雀が独断と偏見を交えつつ解説したいと思います。

幽霊(会津若松市)

1 概要

 融通寺町に,古館山城安寺という浄土宗の寺があり,ここに女性の幽霊の像がある。そして,この幽霊は蒲生秀行の乳母である。

 その頃,同寺には住職がおらず,覚夢という,閑主坊主が住んでいた。覚夢はこの乳母に縁のある者であり,乳母はかねて覚夢に導師を頼んで置いたが,ある時,乳母は罪がないのに他人より讒言され,秀行の母から憎しみを蒙り,ついにその罪の申し開きをすることもできず,自害して果てた。その際最後に申したのは,自身の遺骸を火葬の上,棺を覚夢のいる寺に持って行って欲しい,とのことであった。

 しかし,覚夢はかねてからの愚僧で引導のすべを知らず,いかがしようかと案じていたところ,葬儀を行う辰の下刻となると,空の景色もただならない雲が出て,風も吹き小雨が降り出しなんとも物騒がしくなり,ついに覚夢は寺にいるのにたまりかね,日頃交流していた桂林寺町の九郎右衛門という絵師の所へ行き事のあらましを語った。

 九郎右衛門は,その頃,金輪組という男伊達におり,今日の天気や空のたたずまいはなんとも不思議である,必ず今夜の葬儀には妖怪が出るであろう,引導の儀は口の中で経文らしいことをつぶやいて,その後念仏を言えば済むことである,私もあなたと棺に放れずにいて,火車が来て掴みかかるのならば刀で切り払い寄せ付けまい。まずは藁と柴に油を多く注ぎ,例え大雨が降っても消えないようにすべきだ。急いで寺に戻り,葬儀の準備をしよう,と言い,覚夢とともに寺に赴いた。

 日暮れとなり,棺が寺に届くと,にわかに雨が降り出し,風が吹き雷も鳴り始めた。空は墨摺ったような闇で,そのすさまじいこと限りない。棺を届けた者も,棺に黒雲が覆いかかるのを見て,棺を寺の前に捨てて逃げてしまった。

 覚夢は衣の袖にたすきをかけ,棺へ乗りかかり念仏を大声で唱え始めた。九郎右衛門は大肌を脱ぎ,大脇差をさしてやはり棺へ乗りかかり,黒雲が渦を巻くのを打ち払っていたところ,次第に黒雲が遠ざかり雨風も忽ちやみ,元の晴天が現れたので,棺を藁と薪の上にすえ火をかけたところ盛んに燃えのぼった。そして暁の頃に白骨を拾い,寺の乾の隅,大きな榎の下に埋葬した。

 それから1日経つと,乳母の幽霊は昼夜となく寺中を迷い歩くようになり,覚夢は九郎右衛門にこの話をすると,九郎右衛門は密かに寺へ来て,片隅より幽霊の姿を覗いてその像を描いた。月日が経過すると,この幽霊も出なくなったという。

 なお,この寺は昔から妖怪が出るとのことで,雪隠に行った者が一つ目入道と遭遇し,その者は死んでしまったという。
 今も,乾の隅の榎の下では,禿古入道の類を度々見るという。

2 解説
 
 残念ながら城安寺は戊辰戦争後廃寺となり,今では寺も墓地も跡形もなくなってしまっているという(現存する「融通寺」と関わりのある寺であったとのことである。)。
 なお,蒲生秀行の母(相応院)は織田信長の次女にあたる人物である。