1 概要
岳ダムは二本松市を流れる阿武隈川水系原瀬川をせき止めているダムで,ダム自体は岳温泉温泉街近くに設置されている。同ダムは,原瀬川が火山堆積物で形成された安達太良山麓を流れている関係上,度々水害を起こしていたため,洪水調整やかんがい用として造られたものである。
さて,同ダム付近では少し悲しい内容の心霊現象が今に伝わる。
岳温泉が湯治場として賑わい,遊女も置かれていた時代,ある遊女が客として訪れた男と再会を約束していたが,その男はいつになっても会いに来てくれなかった。そのうち,失意のうちに死亡した遊女が幽霊として,この近辺の道路に現れるのだという。
2 解説
岳温泉の歴史については,別稿「女郎塚」内で説明したとおりである。
同温泉は幾多の変遷を辿っているが,温泉に遊女(女郎)を置いていたのは「湯日(元岳)温泉」時代か「十文字岳温泉」時代のことであり、双方とも、現在の岳温泉とは別の場所に存在していた。湯日(元岳)温泉、十文字岳温泉と、現在の岳温泉の位置関係がつかめないが、あまり距離は離れていなかったのだろうか。
次に,幽霊が現れるとされる場所についてであるが,同ダム堤体の直近を,県道386号線の旧道(二本松岳温泉線)が通るとのことであり、この道路に現れるとされるのだろうか。
いずれにせよ、過去の温泉と現在の温泉の位置関係について、まだ不勉強なところがあるため、今後よく調査をしたいと考えている。
遊女も年季が明けたり,身元引き受けをすれば自由の身になることもありえたという。くだんの男とどのような約束をしたか知る由もないが,遊女の無念の思いはいかほどばかりだっただろうか。
現在の岳ダムの様子である。
岳ダム周辺の現在の道路の様子である。