福島県心霊スポット情報

福島県心霊スポット情報

福島県内の心霊スポット(全国に拡大予定、まずは東北から。)の概要とその情報について,霊感ゼロの四十雀が独断と偏見を交えつつ解説したいと思います。

朱の盤(会津若松市)

1 概要

 慶長3年(1598年),会津の領主が上杉景勝の時代のことである。
 神指村に神指城を築くため,領内から役夫が集められていたが,その役夫達の間で,諏訪神社の境内に夜な夜な「朱の盤」という化け物が現れると噂が立った。

 そこで,山田角之進という100石取りの武士が,化け物退治をしようとある日の深夜,諏訪神社の森を訪れた。辺りは漆黒の闇で,なんとも薄気味悪く感じていると,ふと,自分の後から何者かも歩いてくる気配を感じたので身構えると,そこにいたのは自分と同じような若侍であった。

 角之進はほっとして,若侍に,自分と同じように化け物退治をしに来たのか尋ねるが,若侍は角之進の前に来て足を止めただけで返事もしない。幾度か声をかけたが返事がない態度に腹を立てた角之進はとうとう腹を立て,「そなたは朱の盤をご存知か!?」と怒鳴ると,若侍は割れ鐘のような声を張り上げ,「朱の盤とはこのような顔の化け物か!」と自分の顔を突きつけた。

 その顔面はみるみるうちに朱色に染まり,眼はらんらんと鏡のように輝き,振り乱した髪からは二本の角が生え,耳まで裂けた口,金色の牙を剥き出しにしてガチガチと鳴らす歯音はあたかも雷鳴のようであった。そのあまりの物凄さに角之進も一声うめき,その場に倒れ気を失ってしまった。

 それから小半刻(1時間弱)ほどして,角之進はようやく気が付いた。あまりの恐ろしさに喉が渇いたので,水を所望するために周囲を見渡したところ,幸い近くに灯りが見えた。角之進は灯りのついている家を訪ねると,その家のおかみが出てきて水を差し出してくれた。そして,顔色が悪いようだと聞かれると,角之進はこれまでの一部始終を話した。

 するとおかみが,「朱の盤とは,あるいはこんな顔をした化け物のことではないか。」と顔を突き出すと,見るとその顔が例の朱の盤の姿にみるみる変わっていく。角之進は大いに驚き,どこをどう走ったものか,無我夢中で我が家にたどり着いたものの,そのまま重い病で床に着き,100日目にしてついにこの世を去ったという。

2 解説

 恐ろしい顔を見せて人々を驚かせるとされる妖怪で,この妖怪に遭遇すると魂を抜かれてしまうという。 
 それほど書物に出てくるという妖怪ではないのだが,過去,水木しげる氏の「ゲゲゲの鬼太郎」のアニメ版(第三期)に,ぬらりひょんの手下で登場しているため知名度は高いと思われる(私自身の世代の話である。)
 なお、会津若松市には数か所の諏訪神社が現存している。朱の盆がどの諏訪神社に現れたのかは定かではない(下記の地図は鶴ヶ城近くのものだが、もしかすると、神指城近くの諏訪神社なのかもしれない。)

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