福島県心霊スポット情報

福島県心霊スポット情報

福島県内の心霊スポット(全国に拡大予定、まずは東北から。)の概要とその情報について,霊感ゼロの四十雀が独断と偏見を交えつつ解説したいと思います。

猫魔ヶ嶽の化け猫③(耶麻郡北塩原村)

1 概要

 落合村(現在の耶麻郡磐梯町)のきこり二人が農閑期を利用し,猫魔ヶ嶽に幾月もの泊りがけで薪を伐りに訪れた。山に入ると,早速小屋を作り,木を伐り倒していたが,何日かした後,きこりの一人が斧の柄を折ったため,一度山を下りることになった。

 残ったきこりは,夜中,焚き火をしながら山刀を研いでいたところ,小屋の外に何者かが内部を伺う気配を感じた。すると,年のころ二十歳ばかりの美しい顔立ちの女性が小屋の中に入り,「自分は麓の村の某というものだが,ささいなことから夫婦喧嘩をし,親元に帰ろうと逃げてきたが,道に迷ってしまった。一晩でいいから泊めてくれないか。」と言う。きこりは怪しいぞ,と思いながら,その夜は泊めることとし,食べ物を差し出しながら様子を伺っていた。

 やがて,女性を先に寝かせ,警戒しながら山刀を研いでいたが,時折女性の様子を見ると,女性は顔にかけた自分の着物の袖の隙間からひそかにきこりのを見ていたが,時折きらりきらりと光るその眼の輝きは,どう見ても人間のものではない。

 いよいよ怪しいと思ったきこりは,女性が袖で顔を覆ったところを見計らい,研ぎたての山刀で力いっぱい斬り付けた。すると女性は一声の叫び声を残し,一陣のつむじ風になり,小屋ごとさらい逃げ出した。

 きこりは翌朝,女性の鮮血をしるべに後を追おうとしていると,昨日山を下りたきこりが斧をかついで上がってきた。そして,昨夜の話をすると,二人でその後を追うことにした。

 鮮血はどこまでも続いており,ついには大沢という村までたどり着いた(同村は磐梯山の噴火により桧原湖の湖底に沈んだ。)。二人はなおも鮮血を辿ると,村の端にある隠居家と思われる家の前で途切れているのを発見した。

 さすがにいきなりこの家に踏み込むわけにもいかず,さりとて引き返すのも心残りなので,一計を案じ,この家に一晩の宿を乞う事にした。すると,白髪の老人が出てきて,当初は,連れ合いの老婆が昨夜からひどく頭痛がして臥せているので泊めることはできないと断るが,きこり二人の執拗な頼みに根負けし,ついには泊めてもらえることになった。

 その後,二人は老人と世間話をしていると,奥で寝ていた老婆が何か気になりだしたか,二人の隙を見て脱兎の如く逃げ出した。二人はこれを見るなり,さては妖怪め,と老婆の後を追いかけた。老人は驚き,「これ,婆さんに何をする」と二人の後を追い,村の者に助けを請うと,老人の声を聞きつけた村の者が大勢出てきた。

 一方,老婆は,100メートルも走ったところで力尽き倒れ付した。追いついた二人のきこりはただちにこれを捕まえ滅多打ちにして殺すと,老婆の姿はたちまち変貌し,百年も経った化け猫の姿となった。

 この姿を見た老人は大変驚いた。きこりはこれまでの経緯を説明し,老人宅の床下をはがして見ると,これまで化け猫が捕らえて食った人や動物の骨がうず高く積もっていた。

2 解説

 上記のとおり,その舞台となった村はすでに湖底に沈んでいるとのことであるが,調べて見たところ,「大沢」という村が存在したかどうか,確認することができ状態であることを付記しておく(同じ沢が付く地名として「雉子沢」はある。)。