福島県心霊スポット情報

福島県心霊スポット情報

福島県内の心霊スポット(全国に拡大予定、まずは東北から。)の概要とその情報について,霊感ゼロの四十雀が独断と偏見を交えつつ解説したいと思います。

猫魔ヶ嶽の化け猫②(耶麻郡北塩原村)

1 概要

 昔,志津の六三という鉄砲撃ちの名人がいた。
 その頃,猫魔ヶ嶽には化け猫が現れ,人畜に危害を加えていた。やがてその事が領主の耳に入り,鉄砲撃ちの名人として名高い六三に化け猫退治が命じられた。

 六三は早速山に入る準備をしていると,このことが化け猫に知られてしまい,六三の妻がさらわれてしまった。怒りに燃える六三は,どんなことをしても化け猫を仕留めようとまず山中に小屋がけをし,焚き火をしながら弾丸を作り始めた。

 すると,日が暮れた頃,どこからか一匹の子猫が迷い込み,弾丸を作る六三の手元にまとわりつきながら甘い声を出すので,六三は子猫を抱いて火に当てると,子猫はひざの上にあがり気持ちよさそうにしていた。

 そこに,旅の者らしい男が入ってきて,「山中で道に迷い難儀しています。そこの火に少し当たらせてはくれませんか。」と言うので,六三は快く男を小屋の中に招き入れた。

 男は六三が弾丸を作るのをじっと見ていたが,弾丸を作り終わったと見るや,「おかげで体も温まりました。お礼にひとつ肩でも揉んで差し上げます。」と,六三の後ろの周り肩を揉み始めた。六三も,肩を揉んでもらいすっかりいい気持ちになり,男のおせじに返事をしていたが,ふと気がつくと,男の姿はいつのまにか消えていた。

 妙な男だと思いながら,背中が何となく変なので肩に手をやると,手にはべっとりと血がついてきた。先ほどの男が化け猫と思い,慌てて鉄砲を持ち外に出ると,そこには八匹の化け猫が物凄い目を光らせ,今にも六三に襲い掛かろうとしていた。

 六三は咄嗟に鉄砲を構え身構えると,「六三,この中には貴様の女房がいるぞ。」と,どこからともなく化け猫の声が轟いた。一瞬六三はためらうが,咄嗟に目配せをすることを思い立ち,身構えたまま目配せをすると,果たして一匹の猫だけがそれに応じ目配せを返したので,六三は続けざまに七匹の猫に鉄砲を撃ち放った。

 すると,背後から巨大な一匹の化け猫が現れ,「よく女房を見破ったな。しかし,お前の作った弾丸は七発,その七発も撃ち尽くした。これでお前も最後,七匹の子猫の仇を思い知れ。」と襲い掛かる。化け猫は,旅人に姿を変え,六三が作る弾丸の数を数えていたのだ。

 しかし,六三は慌てず,懐から一発の弾丸を取り出し,「猟師は命弾丸といい,常に一発用意している。」というと,素早く弾丸を込めて化け猫に向け撃ち放ち,見事化け猫を仕留めた。

2 解説

 上記のように,猟師は万が一のため,命弾丸を余計に一発,懐に忍ばせているといい,特に,山中で魔性の物に遭遇した場合には,特別の命弾丸(鉄製,純金製,経文が彫られている,魔除けの効果があるヨモギを巻きつけるなど)を使うといわれている。山中にはそれだけ魔性の物が存在するのだろうか。