令和2年1月16日 改訂
1 概要
福島県北部にある半田沼の成立は比較的新しく,明治時代,近くにある半田山が崩落しその際に出来た沼とのことである。
現在は農業用水に用いられているほか,登山道から見るとハート型に見え,恋人同士で訪れてみると幸せになる,縁結びスポットとしても話題を集めているという。
しかし,縁結びスポットであるにも関わらず,同沼では自殺者が多く出るといわれている。
そして,それが原因かは不明なのであるが,夜,同沼を訪れると,自殺者と思われる女性の幽霊が現れると噂されており,遊び半分で同沼を訪れた者は,幽霊に連れて行かれるとされているという。
2 解説
同沼で自殺者が多いかどうか,という点について,残念ながらそれを裏付けるようなニュース等情報ソースに触れたことがなく,残念ながらその裏付けは取れていないところである。
さて,同沼には,上記の幽霊談のほか,伝説・伝承の類として,次のような話がある。
昔から同沼には主が住んでいるとされており,ある時,その主に,付近に住む若い娘が見初められ沼に引き込まれた。
その後,沼に潜った若い男が,沼の中で機織りをする娘を見つけたところ,その娘から,自分は沼の主の妻となっている,主が起きる前に早く逃げるようにと諭され,若い男は慌てて沼から逃げたという。
もしこの伝説・伝承が真実であれば,上記の通り,同沼の成立が明治時代とのことなので同時代以降の話ということになるが,正直なところ,この話と同様の伝説・伝承は日本各地に存在していることを考えると,真実である可能性は低いのではないかと思われる。
なお,同地には,日本三大鉱山または日本三大銀山といわれた半田銀山が存在していたことで有名であるが,同沼には,同銀山の処刑場が存在していたとする話もある。
確かに,江戸時代には,鉱山近くに処刑場が置かれていた例があるため,あながち嘘ではないとは思われるが,同沼の近くに存在していたかどうか(特に,同沼は明治時代に崩落により成立したため。),その真相は分からない。